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競争の作法 いかに働き、投資するか
「競争の作法 いかに働き、投資するか」 齊藤誠著を読んだ。

タイトルから想像していたのは、日本経済を活性化させる為には、更に市場原理に基づく競争が
必要などという内容ではないかと思っていた。しかし、実際にはそんなありきたりなものではなく、
データからここ10年の日本経済の「見せかけの成長」という現実と、今後の一人ひとりの生き方
への提言という、ハッとさせられる内容だった。

要点は以下の通り。
Ⅰ.2002~2008年にリーマンショックまでの間、日本の大企業は過去最高の好業績を叩き出
 していたが、実質GDPは56兆円増加した。しかしながら、実質家計消費額は、19兆円しか
 増加していない。また、勤労者世帯の家計消費水準は、2002年99.5⇒2007年97.8と、
 低下している。就業者数は、1.3%しか増えていない。
 この期間の戦後最長の経済成長は、勤労者にとっては豊さが感じられない経済成長だった。

Ⅱ.上記期間の経済成長は、日本企業の生産性の向上などの競争力の向上というよりも、
  ①為替レートの円安化(目に見える円安」、②デフレの進行により諸外国に比べ物価水準が
  安くなり、輸出した製品の価格競争力が増したという点(目に見えない円安)が大きい。
 ①の為替レートの円安化は、日銀のゼロ金利政策が長期化し、諸外国との金利差が拡大し
  、日本円の魅力が低下したことによる。
 ①、②により、アメリカとの比較の場合、実質的に2割価格が安くなったとのことである。
 輸出は伸びたものの、輸入については割高となり、実質純輸出から交易損失を差し引くと、
 2004年で29%、2008年ではほとんどが相殺されている。
 一般的に、「輸出で稼ぐ」と言われていたが、実際には相殺された分も相当あったということだ。

Ⅲ.上記期間の「見せかけの経済成長」を演出する為には、1997~2002年の間に129万人
  の失業者を生みだした。また、この間の雇用調整の煽りをうけ、若年層の失業率が高まった。
  20~24才では、9.3%の失業率を記録している。
  ところが、この雇用調整で節約できた労働コストは、全体の1%だけだった。一部の人々の
  貧困化を推し進める一方で、その他の人々は保身を図ったという構図になる。

Ⅳ.海外と伍して戦うためには、Ⅱのとおり、日本企業の生産性の2割アップ、もしくはコストの
  2割ダウンが必要。筆者は論理的だが、冷徹な質問をなげかける。
  各個人レベルで、自分の給与は自分の労働生産性に見合ったものか、多すぎるのか、
  少なすぎるのか問いかけ、給与をその水準に適正化していくことが必然と述べている。
  筆者は、所属大学の例を挙げ、現在の既得権益者(中高年層)が保身を図る為に、賃金の
  維持、教授のポスト保持による若手研究者の参入機会の阻止が行われていると指摘し
  ている。また、日本航空のOBへの年金給付額を3分の2に削減した事例をあげ、各個人
  が「保身」に走るのではなく、自分自身と向き合い自分自身を冷静に評価し、切磋琢磨
  する「競争」が必要と指摘する。

Ⅴ.企業レベルでの「競争」については、家計から金融機関を経由して民間企業に供給された
  資金を民間企業が非効率な投資により、損失を蓄積していることを指摘し(1981年以降
  の累計で150兆円)、株主の怠慢、経営者の保身を糾弾している。

Ⅵ.土地の有効活用の阻害についても指摘されている。固定資産税が安い、また節税の為に
  一等地に駐車場や見せかけの農地などにし、土地利用が非効率になり、経済活動の妨げ
  となっている点も指摘している。

日本人の内向き志向、覇気のない若者など精神面での日本人の貧弱化や、少子高齢化の
進行、国債、地方債の膨張など経済的な大きな課題など、ますます先が見通せない状況にある。
今、自分ができることはまず、「甘え」、「保身」を断ち切り、真の意味での自分との「競争」を通じて
、成長していくことである。
日本経済の置かれている状況、実力を再認識し、弛まぬ努力を継続すること、そういったことを
気づかせて頂いた。
# by askylike | 2011-04-08 19:15 | 読書
日本を創った12人(全編・後編)
堺屋太一さん著作の「日本を創った12人」を読みました。

この本では、現在の日本文化・社会の底流を創った歴史上の12人が紹介されています。
日本史は中学で勉強しただけで、趣味でもあまり本を読んでいないので、勉強になりました。

■印象に残った人物
①聖徳太子
 神道を擁護する物部氏、中臣氏と仏教を伝播させようとする蘇我氏の宗教対立があった時代に、聖徳太子
 は「習合思想」を提言し、神道、仏教双方の併存を唱えた。堺屋さんによると、これが諸外国の中で稀に見る
 複数宗教の共存による社会安定、また、海外の制度・技術のいい部分を取り入れて日本にフィットする方法
 を考案していく、考え方のベースになっているとのこと。
 
②石田光成
 豊臣家を守るため、関ヶ原の合戦を開くまでの石田光成の動きを、「部長」が取締役など会社幹部を動
 かし、プロジェクトを興したという観点で描いている。非常にユニークな視点で分析しており、面白い。

③石田梅岩
 元禄~享保の時代に生きた人物で、生真面目な親に育てられ丁稚奉公に出され、奉公先が倒産しても
 親の言いつけを守り働き続けていたという。「奉公に出たら主人を親と思い大切に勤めよ。その奉公家の恥
 を口外してはならない。」と言われ、親が人づてで倒産をするまで、主人を支え続けたという。
 その後、一流の呉服屋に勤め40才の頃に番頭に上り詰めた。それまでに働いてきた人生で、体得した
 「庶民の哲学」を一般に広めようと、石門心学を開設した。
 農民、商人、男女を問わず、聴講を認め、「諸行即修行」を説いたという。勤勉に働くことは人生修行だという
 意味だそうだ。堺屋さんの解説では、勤勉、倹約を庶民に広めたという点では、画期的だったが、現在の
 日本社会への負の影響として、労働生産性の低下をもたらしているのではないかと論じている。
 労働=人生修行なので、他人から認められにく細部への異常な拘りを持ち、そこまでする必要のない工数
 をかけるのをよしとする、働き方を肯定する風土になっているのではと。

④渋沢栄一
 渋沢栄一は、数百の会社の創立に携わったが個人の利益ではなく、企業、そしてその業界の成長を重視し
 たという。合資により次々に会社を興した。また、「財界」という日本特有な組織を多く立ち上げた。
 財界の中では、各企業は業界として協調体制をとりながら、うまくやっていくような行動をとるようになる。
 これが、護送船団方式、バブル後のゾンビ企業の温存にもつながっているのではないかと指摘。
 渋沢栄一に比して、岩崎弥太郎を取り上げている。経営者は利益を追求し、その利益により次々に会社を
 興すことで世の中に貢献するという考え方。
 堺屋さんは、渋沢栄一が座右の銘としていた「論語」を引き合いにだし、現在の大手企業に残る年功序列
 制度など渋沢的協調主義の限界と唱えているが、渋沢栄一の思想=論語的思想とするその紐付けは少し
 乱暴かもしれない。

今まで読んだ数少ない歴史に関する本では、歴史上の人物を称賛するなど論評して終わりというパターンばかりだったように思うが、この本は、現代日本と結びつけ、しかもその善し悪しを冷徹に論じており、非常に
ユニークな本だったと思う。
歴史を教訓に未来への指針を得るとはよく言われることですが、この本はそれを地でいっており、非常に勉強になりました。
# by askylike | 2011-01-28 20:38 | 未分類
ETV特集「小さな金融が世界を変える アメリカ発 元銀行マンの挑戦
2010年10月10日に放映された番組を録画したまましばらく忘れていましたが、今日時間があったので、
見ました。

元東京銀行に勤務されていた枋迫篤昌(とちさこあつまさ)さんが、7年前にアメリカで移民向けの金融サービスを精力的に展開されていることが紹介されていました。
<要点>
・海外から出稼ぎで移民し、銀行口座が持てないボトムの人々の為の金融サービス提供を目的としている。
・具体的には、国際送金サービスを従来よりも低価格で実現。
 バックグランドでは、業務を効率的に行う為の強いITシステムが構えており、ローコストオペレーションを
 可能とした。マネーロンダリングについても、瞬時にリストと照合し検知できるようになっており、テロ対策で
 要求水準の高いアメリカでも公に評価されている。
・更に、日々入金され、提携先銀行に送金待ちとなっている滞留資金を、出稼ぎ労働者自身や海外の家族に
 貸出し、通常であれば借入れができない人々にチャンスを提供している。
 ローンの審査は、出稼ぎ労働者から定期的に送金がなされているかや、面接により行われるという。
 貸し倒れ率は4%程度でリスクがしっかり管理されている。
・利用者へのヒアリングを定期的に行い、不満=ニーズを捉え、新たなサービスを開発し利用者を継続顧客と
 している。
・日本では、KDDIと提携し携帯電話でサービスが利用できるようになっている。

<感想>

枋迫さんは、20代でメキシコ、エスサルバドルなどに海外赴任された際に、貧しい人々を救うことができなかったという想いを30年間温め50才にして会社を退職し、すべての自己資金を投じてアメリカで起業された。
温かい眼差しを持ち粘り強く「すべての人に金融サービスを提供し、もっと良い社会へ」というビジョンの実現に邁進されていて、本当に素晴らしい方だと思いました。
流暢な英語、スペイン語を話され実際に困っている方々と直接会話し、どうすれば手助けができるかと常に問い続けられています。
ただただ、尊敬の念を覚えるばかりでした。
今後のご活躍とビジネスの発展を願っています。
# by askylike | 2010-12-24 22:50 | テレビ
The Goal
The Goal ~ The process of ongoing improvement
by Eliyahu M.Goldratt
を読んだ。

学生時代に購入していたものの、数年間読まないまま本棚に眠っていました。
生産工程の改善がテーマということで、方法の改善という意味では、自分の仕事のやり方の
改善にも参考になると思い、読んだ。

主人公のアレックスは、工場長である。
工場は、納期遅れの常態化、赤字の垂れ流しにより閉鎖の危機に瀕している。
また、仕事の忙しさから家族生活もすれ違いにより、離婚の危機に。
自分の大学教授に改善の為のアドバイスを受けながら、工場の再生に動く。

本書の中で述べられているいくつかのポイント

■企業が存在する目的
 利益を上げ続けること
 ※利益第一主義という意味ではなく、当然CSRを果たす
 ・・自社でも、売上が重視されるきらいがあり評価指標の見直しが必要である気がする。

■利益を上げ続けるための改善評価
 ①スループット
  製品を売ることによって得られる利益の増分
  ⇒売上-投入した材料費
 
 ②在庫
   完成品、仕掛品、原材料、作りかけの部品など

 ③作業経費
  在庫をスループットに変えるために費やした経費
  一般管理費など

 ①スループットを拡大し、②在庫、③作業経費 を極小化するよう
 改善活動を行うことが必要。

■改善の着眼点
 ボトルネット(TOC)を見つけ、それを改善する。
 本書の例では、ボーイスカウトのハイキングの事例が挙げられている。
 20人ほどが一列になってハイキングをすると、先頭と最後尾の距離がどんどん
 広がってしまう。
 その原因は、後方にいるある子供の荷物の重さが重かったり、歩ける速度がほかの
 子供より遅い為である。
 列の一部で、靴ひもを結びなおしたりして停滞した際に、その後方の子供は
 以前のペースに戻るため、一時的にスピードを上げる必要がある。
 一部の遅れは、徐々に列の後方に波及し、遅れが増幅される。
 (渋滞の原理と同じ)
 追いつくことのできない子供がいると、徐々に先頭と最後尾の距離が拡大して
 しまうのである。
 ボトルネック=ある子供
 とした際に、子供の荷物をほかの子供が持つことでボトルネックは改善される。
 また、ボトルネックの子供と、そのほかの子供の距離が広がらないように、
 子供同士が紐でつながって一定の距離を保つことで、無駄なエネルギーを使わず
 ハイキングを続けることができる。
 ハイキングのスピードは、ボトルネックの子供により規定されるのである。

 工場では、ボトルネックの工程が製品の生産量を規定する。
 ボトルネックの工程を増強したり、待ち時間がないようある程度の仕掛品を
 ボトルネック工程の前に積んでおく必要がある。
 生産ラインの生産量は、統計学的に変動する為、変動を見越した仕掛品の
 備蓄が必要。


この本では、惰性を疑うことも指摘されている。
この工場の評価指標では、在庫が増えることにより利益が押し上げられるという
問題点。
生産ラインの人間が常にフル稼働していることが是とされる。
・・・実際には、ボトルネック以外の工程がフル稼働しても、在庫が積みあがってしまう。


本書は、物語風に書かれており読みやすく、登場人物が試行錯誤する中で、自分も自然と
考えながら本を読み進めることになり、考え方が頭に入りやすい。
ビジネス書の中では、秀逸であると思う。

# by askylike | 2010-07-17 23:11 | 読書
空海の風景
久しぶりの投稿。

「空海の風景」 司馬遼太郎著 を読んだ。

空海については、歴史の教科書で最澄、空海と同時代に生き、
奈良仏教から平安仏教への過渡期に真言宗を構築した人物である
くらいのことしか習った記憶がない。

空海の時代は 774年~835年であり、今から1200年ほど前であり、
足跡を辿るには数少ない文献にあたったり、現代に生きる僧侶へインタビュー
するなど、想像力を膨らませてエビデンスの引用ながらも、空白を埋める
作業が困難であることが容易に想定される。
そんな中で司馬遼太郎は、空海の風貌、性格、匂いを表現している。
この文章の中では、空海は日本史上稀に見る偉人であるが、
非常に飄々としていて、当時は体制に支援を受けていた最澄を小生意気に
相手をしているように描かれている。

歴史上の偉人も、やはり幸運に恵まれている。
一つに、名も知られていないながらも、必死の根回しにより遣唐使に選ばれたこと。
次に、4隻の遣唐使船のうち難破しなかった2隻に乗船していたこと。
唐に渡った後、最後の遣唐使船の帰国便に便乗し、2年後に日本に帰国することができたことなど。

遣唐使は通常、20年程度異国の地に滞在するものの、空海は渡航前に2年程度で日本に
帰国することを決めていたという。そのため、国から支給された20年分の支援金を集中的に
費やし、生活に苦労せず(これは想像・・・)、密教関連の書物を大量に購入して帰国することが
できたそうだ。
この点から、豪傑で飄々とした人物像であることを感じられる。

一方、弛まぬ努力を続けていたらしい。
遣唐使として唐に向かうまでの10年間は、四国で荒波に崖が切り崩されるような海辺の祠に
籠り、修行をおこなった。その間には、数万冊もの仏教関連の書物を読破し、唐に渡るまでに
あらかた当時の仏教について吸収してしまったらしい。
その努力は、唐に渡ってからも衰えず、サンスクリット語を学び、中国語ではネイティブと対等に
渡りあい、その書の巧さでは皇帝を驚かせたそうだ。

たった1人の人間が、当時の仏教から学び、新たな体系を構築したことには本当に目を見張るばかり
である。現在もその意志が受け継がれ、高野山金剛峯寺として人をひきつけ続けている点に
驚嘆するばかりである。

# by askylike | 2010-07-05 23:51 | 読書
仕事のための12の基礎力
以前に買ったまま積み置きしていた、仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~
を読みました。
著者はリクルートワークス研究所の大久保幸夫さんです。

以前、大久保さんのキャリアに関する講演をお聴きしたこともあり、当時の復習も兼ねて
各年齢層で身に着ける必要のある力について、読みました。

20代までに養成する力は以下の通りだそうです。
①反応力(リアクション)
  コミュニケーションの中で最も基本となるところですが、なかなか最近の若い世代に足りない
  と指摘されているそうです。
  話しを聞いているときに、あいづちを打つなど、何かの反応を示すこと。
  コミュニケーションに占める要素では、93%が表情、声、7%が内容だそうです。
  面接の実験で、あいづちを打たれたほうが、そうでないよりも、発言量が50%増えたという
  結果もあるそうです。
 
②愛嬌力
  若くて力のない人でも、愛嬌がある人は目上の人を含めて周りから助けられやすかったり、
  ミスを笑顔でカバーできるなど、利点が多いとのことです。
  リーダーになる条件の一つとしてもあげられているポイントです。
  田中角栄元首相が、10年ぶりに会った支持者にフルネームで呼びかけ、
 「やあ、おばあちゃんは元気か?」というような、親しみのわくように接する姿などが例とされています。

③楽天力
  仕事につきもののストレスをいかにコントロールできるかが決まるそうです。
  ストレスへの対応には、2種類あり、
  一つは消極的対応、もう一つは積極的対応です。
  消極的対応:あきらめる、忘れる、他人のせいにする、気分転換する
  積極的対応:ポジティブシンキング、失敗学の研究対象とする
          失敗学とは、自分の失敗の原因を積極的に振り返り、分析することで
          次に同じ失敗をしない為の対策を立てていくことをいうそうです。
          失敗についてくよくよせず冷静に分析するという発想の転換は、なかなか面白いです。
  経営者から見た若い世代の弱点の第1位が「忍耐力」だそうです。
  積極的に物事に対応していけば、粘り強く取り組んでいけます。

④目標発見力
  昨今、よく言われているように、課題を自分で発見し積極的に解決することが求められています。
  ともすれば、「指示待ち族」になり、与えられたことを卒なくこなすことが無難と考えがちですが。
  「夢」を描き、野心的に行動し続ける「アニマルスピリット」が、自分の成長、ひいては会社、社会の
  変革に繋がるとのことです。
  なかなか最初から目標設定をすることは難しいですが、日々の業務を続けるうちに、
  もっと効率化できないかとか、もっと付加価値がつけられないかなど、創意工夫がわき、
  目標が見つかるという、ボトムアップ的な目標発見もあるかもしれません。
  目標⇔現実 → ギャップ →それを埋める為の戦略 →各施策の実行・時間管理
  が大きな目標達成の枠組みとのことです。

⑤継続学習力
  社会人で、自分の仕事の知識習得や資格習得を自主的に行っているのは、わずか18.4%
  だそうです。
  著者の大久保さんの場合、学習習慣を定着させるため、1年にハードカバー150冊読破 という
  目標を掲げ、忠実に守ったそうです。時間がとりにくい時は、睡眠時間を削って本を読まれたそうです。
  専門書などは、初めは意味が分からないが、集中的に継続的に読み続けることで、頭の中の知識の
  インフラが整備されていったとコメントされています。
  覚えたことをアウトプットすることも重要と指摘されています。
  P.ドラッカーの未来の労働者像で述べられている「ナレッジワーカー」の条件でも、
  自分で継続して学んでいくことがあげられているとのこと。

⑥文脈理解力
  世代、国籍の違う人々とコミュニケーションを取れる力。
  会社でいえば、確かに年代毎に仕事へのコミットメントや、同僚との付き合い方など違いがあります。
  ましてや利害関係が異なる場面で、相手の意見とその背景にある想い、考え方を慮って、理解していく
  力が文脈理解力とのことです。

こうして読んでみると、①~③、⑥はコミュニケーション力、人間的魅力
④は自分自身の動機付け、仕事に対する姿勢
⑤は意欲、習慣
ということで、小手先のいわゆるスキルではなく、人格の涵養が大事であることが良くわかります。
仕事の能力という視点だけでなく、これらの力は純粋に人間的に尊敬できる人物像でもあります。
どうしても楽な方に、独り善がりになってしまいがちですが、たまにこれらのことを思い出し、
新鮮な気持ちに立ち返られればと思います。

# by askylike | 2009-10-02 00:19 | 読書
ビタミンF
過去の直木賞受賞作を少しずつ読んでいます。
重松清さんのビタミンF (新潮文庫)
を読みました。
30代後半~40代前半の父親を主人公として、「家族」についての想いを描く短編集です。

主人公は「新人類」と呼ばれる世代で、父親としての威厳を心の中に秘めているものの、
家族と向き合う時間が少なく、自分の想いを素直にあらわすことができません。

この短編集で一番心に残ったのは、「かさぶたまぶた」。

仕事場では、弱みを見せず部下の前では決して弱みを見せず、若い世代の人望が厚い上司。
家庭では、子供にしっかりとしつけをし、いつも強い姿を見せる父親。
大学受験に失敗し浪人生となる息子、有名中学へ合格し周囲から評価の高い娘を持つ。
しかし、娘は学校でのちょっとした失敗から、部屋に閉じこもるようになる。
そして、ある日、息子が飲み会に参加し、酔っ払ってタクシーで帰ってきた際にしかりつけると、
家庭の地下に溜まっていたマグマが一気に噴出する。
これまで大人しかった息子は、モノを投げ暴れだす。
息子や妻から初めて吐き出される「強すぎる父親」のいる家庭の息苦しさ、辛さ。
逆に、主人公はどこでも弱い姿を見せられなかった積年の想いを吐露する。
そして、素直になれた家族は再生する。

全編を通して、今の時代を生きるこの世代の父親像、若い世代の描写にリアリティがありました。
身の回りの人々に置き換えてみても、あまり違和感なく当てはめることができます。

当然、全ての物語がハッピーエンドで終わるわけでありませんが、
初めは腰が引けながらも家族の問題に体当たりしていく父親の姿に心打たれました。
# by askylike | 2009-09-06 18:45 | 読書
終末のフール
最近はビジネス書ばかり読んでいたので、小説を買ってみました。

終末のフール


物語のあらすじは、
3年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡するという設定です。
食料の奪い合い、自暴自棄になった人々の暴力、死。
絶望、悲惨な世界の中で仙台にある「ヒルズタウン」という団地の住人は、
それぞれ死を意識しながら自分の生き方を選びます。
8話の短編で構成されています。

印象的だった章の一つ、「鋼鉄のウール」。
主人公は、ボクシングジムの門下生です。
家庭の不和などで心の葛藤を抱えながら、悶々とした青春時代を送っています。

彼の通うボクシングジムの門下生は軒並み辞める中、鋼鉄のボクサーと評される
トップボクサーの苗場は日々、黙々と練習を続けます。
タイトルマッチが何年も延期になり、次がいつになるかもわからないのに。ひたすら自分を磨く。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
「できることをやるしかないですから」

もう一つ心に残った章、「深海のポール」。
2世帯で暮らす夫婦と父親の話し。
父親は、小惑星の衝突で地球は洪水に見舞われる。その姿をなるべく高い位置から見下そうと、
マンションの屋上に櫓を築く変わり者。
そんな父親が、息子が自殺を口にしたときに言った言葉。
「自殺しちゃいけねえ理由なんて、知らねえよ」
「あのな、恐る恐る人生の山を登ってきて、つらいし怖いし、疲れたから、もと来た道をそろそろ帰ろうかな、なんてことは無理なんだよ」
「登るしかねえだろうが」

生きる意味を見つけ力強く生きていく人々の姿に感動しました。
私も小さな松明を燃やして人生を生きたい。
# by askylike | 2009-07-21 22:27 | 読書
口コミマーケティング
インターネットを活用した販促ということで、Blog、SNSなどのソーシャルメディアを活用した
「口コミマーケティング」が注目を集めています。

素人の私は良くわからないので、肯定派と否定派の双方の本を読んでみました。

<肯定派>
クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング


「やわらか戦車」 http://blog.livedoor.jp/yawaraka_sensha/クリエーターの作品に対し、読者がコメントを加え、コメントの良い部分を作品に
反映させていく共作により、ファンコミュニティが生まれ、それがキャラクタの商品化
などビジネスの拡大につながった事例。

涼宮ハルヒの憂鬱
もともとは地方テレビ局の深夜番組で放映された作品。
作品自体に一ひねりあり、視聴者が背景、関連情報を探すようになり、
それがBlog等を通して、口コミが広まり、ブレイクした。

いくつかの事例を取り上げ、口コミ・共感型のマーケティングの有効性が述べられている。


<否定派>
そんなんじゃクチコミしないよ。 <ネットだけでブームは作れない!新ネットマーケティング読本>


Blogでの口コミは、実はCMなどのマスメディアでの露出があって初めて広がるもの。
やはり、既存メディアの影響力は依然として強いままである。
・Docomoのmixi公式サイト運営の失敗→炎上→閉鎖 など企業が消費者の反感を
 かい、失敗する口コミマーケティング事例もあるが、 その失敗により、果たしてどれだけ
 売上に影響があったのか。

口コミの影響力は強いとはいえ、まだまだCMなどに比べると影響力は限定的。
というのが大筋。

私が働いている会社でも、インターネット販促に力を入れていますが、
Blogの影響力は限定的と見ています。
また、仮に口コミを通じてアクセス数が増えたとしても、それがどれだけ売上に繋がっているかは
測定できていないようです。

月並みですが、ストーリーを作り、インターネットばかりにとらわれず、
様々な媒体を使って最終的に購買行動に繋がる販促ですね。
# by askylike | 2009-06-23 23:12 | 読書
だめんず・うぉ~か~
女性漫画家 倉田真由美さんの講演会があることを知り、
面白そうなので参加することにしました。より良いコミュニケーションの仕方がテーマだそうです。

倉田真由美さんの名前は聞いたことがあったのですが、作品を読んだりしたことがないので、
久しぶりに梅田の漫画喫茶で、代表作の「だめんず・うぉ~か~」を読んでみました。

http://www.amazon.co.jp/dp/4594047459/

内容は、だめんず:借金をしながらも気ままな生活を送っていたり、無職でお金がなく女性に
養ってもらったり、DV(ドメスティックバイオレンス)行為をしたり、するような男性
を好きになり、辛い思いをしながらも、なかなか縁が切れない女性の姿を描いています。
高学歴のお嬢様から、水商売をしている女性まで色々なタイプの女性が登場しています。

実話をインタビューして描いているということで、自分の身の回りでは想像できないことが
世の中にはあるんだというのが率直な感想。
母性本能の強さなのでしょうか?なかなか理屈では説明がつかないものですね。

瀬戸内寂聴さんへの恋愛をテーマにしたインタビューがなかにありました。
今の時代、愛は与えた分をもらうというgive and takeの考え方が強い傾向にあるが、
そんな考え方では良い関係は続かず、やはり「無償の愛」を与える心構えが大事という
ようなことでした。

講演会では、このような人間心理の背景について聞いてみたいと思います。
# by askylike | 2009-06-08 00:03 | 読書
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